シェアエコを語るにあたっての用語の整理

シェアエコを語るにあたって色々と専門用語があります。

まずは最初にここでよく使う専門用語を定義させていただきますね。

プラットフォーム

ここで言うプラットフォームの定義は、根来(2013)による定義を紹介します。

図1のように、プラットフォームとは、異なるユーザーグループ(最終消費者グループと事業者グループ)の関係にあり、製品・サービスの組み合わせが可能であることを想定しています。

これは、産業をレイヤー構造で表現することでうまく表せます。

最終ユーザーは、各レイヤーの製品やサービスを直接選択が可能です。
伝統的なビジネスの構造であるバリューチェーンでは水平の連鎖ですが、レイヤー構造というのは垂直な重なりであり、最終消費者はその垂直な重なりのレイヤー毎に製品やサービスを選択できます。

例えばライドシェアのUberのプラットフォーム構造は、図2です。

 

図1:プラットフォームの構造

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図2:Uberの構造

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 (出所)根来龍之(2013)「プラットフォームビジネス最前線 26の分野を図解とデータで徹底解剖」より筆者編集

 

プラットフォームビジネスではない伝統的なビジネスでは、バリューチェーン構造の最終事業者が製品・サービスの選択肢を提示し、最終ユーザーはその選択肢の中から(最終)製品・サービスを選びます。

つまり、最終ユーザーは最終事業者を遡って素材や部品を指定することはできず、最終的に選択肢を決めるのは製品・サービスの最終事業者です。

また、補完製品を前提にしているのも重要なポイントでありこれが無いものはプラットフォームではありません。
そしてプラットフォームは「基盤型」と「媒介型」の2つに大別できます。

基盤型プラットフォーム

基盤型プラットフォームとは事業者が提供するプラットフォームを前提とした補完製品、サービスが存在する構造を持ちます。

例えばスマホやPCのOSですとか、ゲームのハードなどがこれに該当します。

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iPhoneIOSはこの定義に照らし合わせると基盤型プラットフォームです。

媒介型プラットフォーム

一方媒介型は補完製品、サービスが存在するのは同じですが、ユーザーが直接購入するのではなく、媒介型プラットフォームを介して行われます。

つまり媒介型プラットフォームの典型的な機能は仲介であり、このブログで紹介するシェアエコなどの、CtoCプラットフォームサービスにおけるプラットフォーム事業者はこの媒介型プラットフォームに該当します。

有名どころの個別銘柄ではフリマのメルカリや民泊のAirbnb、ライドシェアのUberなどですね。

CtoC

このブログでは「CtoC」とは「オンライン上で行われる、個人間の取引サービス」を総称して言います。繰り返し出てきているほぼ同義語で「シェアリングエコノミー」という用語が普及しつつあるのですが「シェアリングエコノミー」は現状、研究によって定義が固定されていないため、例えばオークションやコンテンツ共有などをそれに含めるか否かといった議論の余地があります。

そのためこのブログではその定義の曖昧さを避ける場合には「CtoC」という用語で統一します。

CtoCにおける一般的なビジネスモデルは、運営側が個人間で取引するための「プラットフォーム」を用意し、取引が成立した際に一定の手数料を得る仕組みであす。先の例でのメルカリは、場の提供フィーとして売り手から売上金の10%(1万円以上の場合は5%+500円)を徴収します。

シェアリングエコノミー

でもシェアエコ、シェアエコと言ってる以上、シェアリングエコノミーもしっかりと定義しなきゃいけませんね。

総務省通信白書より抜粋したものを参考にまとめると、要点は以下のようになります。

シェアリングエコノミーとは、有形無形の遊休資産の貸出しを仲介するサービスであり、貸主は遊休資産の活用による収入、借主は所有することなく利用ができるというメリットがある。貸主や借主が企業体であることもあり、必ずしもCtoCとは限らない

そのためオークションやフリーマーケットサービスなどは、場合によっては売り手(供給者)が販売の対象を、遊休資産ではなくあらかじめ転売目的で仕入れた商品などで行われることもあるため、そのようなケースはこのブログでいう「シェアリングエコノミー」に該当しない場合もあります。

レンタルビデオ業なども、最初から反復継続的にCDやDVDなどの資産をレンタルすることで利益を上げることを目的としているため、遊休資産とは言えず「シェアリングエコノミー」には該当しません。

そもそも個人間取引自体は旧来から行われていたことであり、決して真新しい概念ではありません。着なくなった服や使わなくなったモノを友人に売ったりすることは昔からよくあることですよね。

ただ、ここに「オンライン上で行われる」と付言しただけで従来は知人や友人間でしか行えなかった取引範囲が爆発的に拡大して、世界中の需要と供給を結びつける仕組みとなりました。

シェアリングエコノミーについて

シェアエコ(シェアリングエコノミー)とは?

ボクはシェアエコと言われるモノが好きです。

そもそもシェアエコとは何なのか?どんな効用があるのか?これからどこに向かおうとしているのか?そんなことをしばらくシリーズ化して書いていきたいと思います。

まず、そもそもシェアリングエコノミーって何?って話ですが、総務省の定義を確認してみましょう。

「シェアリング・エコノミー」とは、典型的には個人が保有する遊休資産(スキルのような無形のものも含む)の貸出しを仲介するサービスであり、貸主は遊休資産の活用による収入、借主は所有することなく利用ができるというメリットがある。貸し借りが成立するためには信頼関係の担保が必要であるが、そのためにソーシャルメディアの特性である情報交換に基づく緩やかなコミュニティの機能を活用することができる。シェアリング・エコノミーはシリコンバレーを起点にグローバルに成長してきた。PwCによると、2013年に約150億ドルの市場規模が2025年には約3,350億ドル規模に成長する見込みである。(総務省H27年度情報白書より)

要するに個人同士がモノやスキルを分配することで、限りある資源を効率的に分配する仕組みですね。世界的に本格的なスケーリングを果たしていて有名なのはライドシェアのUberや民泊のAirbnbです。

ちなみに、世界では2013年に150億ドルだったシェアエコ市場は12年後の2025年には3,350億ドルまで成長する見込みだとPwCが分析発表をしています。

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シェアエコがなんで重要なの?

ボクは人類の存続にかかわる問題だから重要なんだと思います。

今までの資本主義的な考え方の社会は大量生産の大量消費で、企業は怒涛の如く生産しまくって消費者はその分消費しまくってきました。

でもこのまま世界的に人口が増加すると資源の枯渇が危惧されていますし、人間には際限のない欲望があることもどうやら事実のようです。

1930年にイギリスの経済学者ケインズはその著書で、100年後の世界では生産性が大幅に上がるため、働かなくても皆が平均的に豊かになる。富をどう配分するかという経済問題はなくなると言っています。

ケインズのいう100年後とはあと13年後ですが、どうやら労働がなくなるような兆候はありません…。

それは人間の欲望があまりに際限なく次から次へと高次な欲求(マズローの言う尊厳欲求や自己実現欲求ですね)が生まれてしまうからなのではないでしょうか。

資本主義的な価値観では、人間は現状に安住することを人類は嫌うわけですね。

そこで最近になってこのような漠然とした不安が起こっているのではないでしょうか。

「このままどこまでも大量にモノを作りまくって消費しまくっていたら我々はどうなってしまうのだろう。またこれではピケティーや、もっと古くは古代ローマのマタイ伝のように「富める者は一層富み、貧しいものはより貧しくなる」だけなのではないか」

シェアエコはそんな不安を一掃するもの!というワケではないと思いますが、課題解決に対しての一定の貢献可能性はあるのではないでしょうか。